システムが連続的であり、その状態変数が時間だけでなく空間次元にわたって変化する場合に、偏微分方程式(PDE)を用いて運動方程式を導出します。PDEは、これらの空間的に分布する特性がどのように相互作用し、進化するかを記述するための数学的枠組みを提供します。
「運動方程式」を記述するために常微分方程式(ODE)を使用するか偏微分方程式(PDE)を使用するかの選択は、モデル化しようとしている物理システムの性質に根本的に依存します。
運動方程式を偏微分方程式(PDE)を用いて導出する必要がある理由を以下に示します。
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一節を要約することは、ある分野の多面的な性質を把握するために不可欠です。
🎬動的な結果
$\gg$Dynamic System Simulations and Derivations-12/12
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連続システム(場)の記述
- 離散システムのためのODE: 単一の粒子や剛体の運動について話すとき、その位置(およびおそらく向き)は有限個の座標で記述でき、これらの座標は時間に対してのみ変化します。例えば、振り子の錘の位置は、時間のみの関数である単一の角度 $\theta(t)$ で記述できます。このようなシステムの運動方程式は、通常、$F=ma$ や回転に関するニュートンの第2法則のような常微分方程式(ODE)になります。
- 連続システムのためのPDE: 多くの物理システムは離散的な粒子で構成されているのではなく、空間全体にわたって連続的に分布しています。これらのシステムでは、物理量(変位、温度、密度、圧力、電場など)がシステム内の点ごとに変化し、時間とともに変化することもあります。
- このようなシステムの場合、「状態」は時間( $t$ )だけでなく、1つ以上の空間変数(例: $x,y,z$ )の関数でもあります。
- 例えば、振動する弦の変位 $u(t, x)$ は、時間 t と弦に沿った位置 x の両方に依存します。熱伝導体内の温度 $T(t, x, y, z)$ は、時間と3つの空間座標に依存します。
- これらの空間的に変化する特性が時間とともにどのように発展するかを記述するには、時間と空間の両方に関する偏微分を含む方程式が必要です。これらが偏微分方程式です。
空間的相互作用と伝播の捕捉
PDEは、以下のものをモデル化できるため必要です。
- 伝播: 擾乱(波、熱、流体の流れなど)が空間をどのように伝わるか。
- 拡散: 特性(熱、濃度など)が時間とともにどのように広がるか。
- 分散: 異なる周波数の波が異なる速度で伝播すること。
- 隣接点間の相互作用: 連続媒体のある点の挙動は、その隣接点の影響を受けます。PDEは、空間微分を通じてこれらの局所的な相互作用を本質的に捉えます。
PDEとして導出される運動方程式の例:
以下に、運動方程式がPDEとして導出される一般的な物理現象の例をいくつか示します。
- 波動方程式:
- システム: 振動する弦、空気中の音波、電磁波。
- PDE: $\frac{\partial^2 u}{\partial t^2}=c^2 \nabla^2 u$ (ここで $\nabla^2$ はラプラシアンであり、$u_{x x}, u_{y y}$ などを含む)。
- なぜPDEか? 変位 u は弦の長さ($x$)と時間($t$)の両方で変化するためです。
- 熱方程式(拡散方程式):
- システム: 固体中の温度分布、化学物質の拡散。
- PDE: $\frac{\partial T}{\partial t}=k \nabla^2 T$。
- なぜPDEか? 温度 $T$ は空間的 $(x, y, z)$ にも時間的($t$)にも変化するためです。